様々な仏教の宗派の中でも、最も戒律が厳しくないと言われる浄土真宗ですが、西本願寺を本山とする本願寺派と、東本願寺と言われる真宗本廟を本山とする大谷派を二大派閥に、真宗教団連合を組織する十派と、さらにそれから分派した北本願寺派や東本願寺派などの小さな派閥も多数存在し、葬儀をはじめ仏事の所作にも違いがあります。
浄土真宗の教えは、死後は皆がみ仏によって救われて極楽浄土へ行き、すぐに仏となる教えであることから、今、この世に存在している人も、将来そこで故人と再会する事を前提としています。そのため、どの派に属していても、別れを告げる儀式である事を意味する告別式という言葉は使いません。
葬儀に於いては、御導師様の入場に続き、帰三宝偈を唱えて仏様を招き、その後南無阿弥陀仏の短念仏を唱えたり、読経の最中に弔電披露やお焼香などが執り行われるため、式の始めに参列者一同で揃って短念仏を5回唱えるだけで、その後揃って読経をすることはありません。
焼香時には御導師様の正信偈の読経の中、親族を始め参列者全員が行う焼香は、本願寺派はお香を親指、人差し指、中指の3本の指で摘んで、自分の額付近に近づける「おし頂く」という所作をせずに1回、直接香炉に入れますが、大谷派は同じく、おし頂かずに2回というように違いがあります。
浄土真宗の葬儀は、他の宗派に比べてその式次第が非常に簡素化されており、分かりやすいのですが、それは死後にすぐ極楽浄土で仏様になるという観念から来ています。